今回は、AI駆動開発の実践として社内向けに開発した学習支援アプリについて、開発のきっかけや制作過程で得られた気づきを紹介します。
1. きっかけは、3つの「欲しい」でした
- AI駆動開発を自分でも試してみたい。
- 新人育成の学習効率を高めたい。
- 自分自身のリスキルにも使える学習環境がほしい。
この3つの思いから、AI駆動開発による学習支援アプリの開発を始めました。
最初から大きなプロジェクトとして構えていたわけではありません。最初から大きなプロジェクトとして構えていたわけではありません。AI駆動開発に慣れる意味も込めて、まずは試しに作ってみようというところからのスタートでした。

2. 「読む」だけで終わらない学習体験を目指しました
今回の学習支援アプリは、教材を読んで学ぶだけでなく、その内容を実際にコードを書きながら身につけていけるアプリです。利用者は、ブラウザ上の教材でソフトウェア開発の基礎を学び、その後、学習した内容の演習問題に取り組みます。また、演習中にヒントが欲しい場合は、AIアシスタントに相談することができます。進捗も記録されるため、自分がどこまで学習できたかを確認しながら進めることが可能です。
教材は、TypeScript、React、Git、Linux CLI、Docker、AI駆動開発など、技術領域ごとにコース形式で整理しました。初版リリース時点では、6つの技術領域に対して、18コース、118レッスンを用意しています。学習の流れは、大きく「教材で学ぶ」「演習で試す」「AIアシスタントに相談する」の3つです。
■STEP 01:教材で学ぶ
技術領域ごとに整理された教材を読み、基礎知識を学びます。学習する内容や順番が分かるように、コース形式で構成しています。
■STEP 02:演習で試す
教材で学んだ内容をもとに、ブラウザ上で実際にコードを書きながら演習に取り組みます。読むだけで終わらず、手を動かしながら理解を深められるようにしました。
■STEP 03:AIアシスタントに相談する
演習中に分からないことがあれば、AIアシスタントに相談できます。課題に取り組む中でつまずいた点を、その場で確認しながら進められることを目指しました。
こだわったのは、「読んで終わり」にしないことです。技術を学ぶとき、資料を読むだけでは分かったつもりになってしまうことがあります。そこで、学習と演習をセットにして、実際に手を動かしながら理解を深めることができる学習体験を目指しました。
3. 1人とAIで、12日間の開発に挑戦
今回の開発では、VS Code※1とClaude Code※2を活用しながら、要件定義、設計、実装、テストまで進めました。開発期間は12日間、実装担当は1人です。完成した機能は、コア機能、ユーザー機能、拡張機能を合わせて20機能。コードはTypeScriptで約16,600行、テストケースは675件、設計ドキュメントは111本を作成しました。AIを使うと、「作って」と伝えれば自動で完成するように思われるかもしれません。でも、実際にやってみると、そこまで単純ではありませんでした。
- 何を作るのか。
- どこまでできれば完了なのか。
- 途中で方針を変えるべきか。
- 最後に本当に動いていると言えるのか。
こうした判断は、AIではなく人が担う必要があります。AIは開発を大きく助けてくれますが、目的を決め、品質を確認し、最後に「これでよい」と判断するのは、やはり人の役割だと感じました。

4. 社内の反応から、活用の可能性が見えてきました
今回の学習支援アプリは、もともとはAI駆動開発に慣れる意味も込めて試行的に作り始めたものですが、取り組みを社内で共有したところ、想像以上に前向きな反応がありました。
同じように育成で悩んでいた社員からは「さっそく使ってみます!」という声が寄せられたほか、ランクや称号、学習時間などを共有して、学習が楽しくなる・継続したくなるような仕組みを追加してみてはどうかという新たなアイデアも寄せられました。自分の学びのために始めた取り組みが、周囲の学習や育成にもつながるかもしれないと感じられたことは、大きな手応えでした。
5. AI駆動開発は、触ってみないと分からない
開発中は、うまくいくことばかりではありませんでした。アプリの構成を途中で見直したり、AIが「できました」と返してくれても、実際に確認すると手直しが必要な場面があったり、実際に画面を操作して初めて気づく不具合もありました。AIを活用していても、最終的な品質確認は人が行う必要があります。
今回の取り組みを通じて感じたのは、AI駆動開発で大切なのは「AIに任せきること」ではないということです。AIに任せる部分と、人が責任を持つ部分を切り分ける。その見極めが重要だと感じました。
一方で、AIを活用することで、1人でも取り組める範囲が大きく広がることも実感しました。今回の開発は、学習支援アプリを作る取り組みであると同時に、AI駆動開発の可能性と難しさを自分自身で体験する機会にもなりました。
この学習支援アプリは、まだ発展途上の取り組みです。今後は、新人育成やプロジェクト参画時の情報キャッチアップ、社員のリスキルなど、さまざまな場面で活用できるよう、実際の案件で得られた知見やノウハウを反映した学習コンテンツの充実も図っていきたいと考えています。
【さいごに】
当社では今後も、社員が新しい技術に触れ、実践を通じて得た知見を共有しながら、AIを活用した開発や人材育成の取り組みにつなげていきます。
※1 VS Code(Visual Studio Code)は、Microsoftが提供するソースコードエディターです。コード編集に加え、デバッグ、バージョン管理、拡張機能など、開発を支援する機能を備えています。
※2 Claude Codeは、Anthropicが提供するAIコーディング支援ツールです。開発環境上でコードベースを参照しながら、実装、修正、テスト、調査などの作業を自然言語で支援します。
※ VS Code(Visual Studio Code)は、Microsoftグループ企業の商標または登録商標です。
※ Claude Codeは、Anthropic PBCの商標またはサービス名称です。
※ その他、本ページに記載されている製品名、サービス名、会社名などは、それぞれの企業の商標または登録商標です。
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