当社ではカスタムAIアプリの提供を支援する「DataRobot」のAIプラットフォームを活用し、NTTデータと共にSHARP様向けの在庫管理の最適化プロジェクトに取り組んでおります。
本プロジェクトについて当社参画メンバーにインタビューを行いましたので、ご紹介いたします。
1.プロジェクトの目的・背景
目的 | DataRobot※1を活用した在庫管理の最適化 |
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背景 | SHARP様が自社製品向けに提供されている修理サービスにて、修理対応期間を超過した部品の廃棄による損失が課題となっていた。 そこで当社は部品在庫低減に向け、NTTデータの協力を得て2023年10月から本プロジェクトを開始。 |
- ※1 DataRobot
- ビジネスリスクを最小化し、インパクトを最大化するAIソリューション。
AIアプリケーションとプラットフォームによって、AIを大規模に開発、運用、管理できます。
実務者が予測AIおよび生成AIを提供できるようにし、管理・推進者がAIアセットを保護することを可能にします。
2.プロジェクトについて
ープロジェクトの概要をお願いします。
本プロジェクトではAI需要予測モデルによるハードウェア部品の在庫削減を行います。
収集したデータから需要予測モデルを構築、実運用でのモデル検証を実施することで、需要予測モデルの実用化を見据えています。
■需要予測の難しさ
ープロジェクトを進めるにあたり苦労した点はありますか?
SHARP様の業務フローを理解するためにヒアリングを行ったのですが、業務内容が複雑で全体像を把握するのが難しかったです。そこで部分的ではありますが、AIモデルの活用目的や業務フローにおける適用箇所を明確にすることで、どのように運用していくか、解像度を上げながらチームメンバーと議論して進めています。
また、収集するデータは必ずしも理想的なデータというわけではなく、欠損等、AIモデルを学習する際のデータ量が不十分な場合があるので、その中でどのように前後の処理を加えていくかといったところも難しいポイントです。
欠損データに対しては移動平均を適用して補間してみたり、データ量に対しては予測対象データと似通った他のデータを探してみたり、工夫しながらプロジェクトを進めています。
■強力な分析ツールとしての「DataRobot」
ーDataRobotの特徴や強みを教えてください。
一般的にAIモデルには判断基準や根拠が不明確だと信用できない、というユーザ視点の問題があります。
この問題は本プロジェクトでも課題となっており、「どのデータがDataRobotの出力結果に対して一番影響を与えているのか」といった分析をエビデンスとして示すことが重要だと考えています。
その中でDataRobotはAIモデリングだけでなく、「どの特徴量※2が予測にどのくらいの影響を持っているのか」を特徴量の傾向によって可視化することが可能であり、分析においても非常に強力なツールであると言えます。
- ※2 特徴量
- AIや機械学習でデータの分類や予測を行う際に、対象データの特徴を数値として表したもの。
■対象拡大と機能活用
ープロジェクトにおける現時点の実績や効果を教えてください。
現在は予測対象部品の中の特に重要な部品において、実運用に耐え得る精度が出ている状況です。これによるビジネス効果は大きく、他の部品に展開することで更なるビジネス効果を見込んでいます。
運用においても、DataRobotにはMLOpsと呼ばれるデプロイ、監視、管理等が行える機能が用意されており、運用していくにつれて需要の傾向が変わればその変化を検知することが可能です。これらを活用することにより、人手の作業を削減したスムーズな運用を目指しています。
- 当社参画メンバー
3.今後の展望
当社はDataRobotを活用した本プロジェクトを通じて、データサイエンスの知見をため込み、幅広い分野でビジネスに活かしたいと考えています。データサイエンスは今後あらゆる分野での問題解決や意思決定に大きく寄与するとされており、製造業だけでなく農業や自動車産業、医療、スポーツなど様々な分野・業種において活用が期待できます。様々なデータ特性、業務特性に対応するため、各分野・業界ごとの理解を深め、顧客に合った価値提供を目指します。
■商標関連
- 「DataRobot」はDataRobot, Inc.の登録商標です。
- その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。